まずは男のうつ病と女のうつ病は仕組みが異なることを知らなければなりません。女のうつ病は記憶障害です。男はそもそも心の傷を記憶に保存しないので、男のうつ病は記憶の問題ではなく、認識の問題であるノイローゼ性うつ病です。感情の変化で起こるうつ病は女にのみ該当する話です。ここでは女子青少年たちのうつ病について見ていきます。
女子青少年のうつ病は記憶に障害が起こったものです。傷を記憶して問題が起こっているので、無意識が既存の傷を治療するまでに、傷の記憶を遮断して置くのが女子のうつ病です。もうそれ以上傷が拡大しないように備えた心理の安全装置がまさにうつ病なのです。
女子青少年に傷ができる理由は、自己形成をしていく過程で自分の基準に合わないものはすべて傷になります。
例えばバイオリンを懸命にして音楽家の道に進みたいのに、親は医者になることを望んでいるとします。それでバイオリンのレッスンを止めたことも傷になり、医学部に入るために勉強することもすべてが傷になります。このような傷は本人も知らずにたまっていきます。
無意識は心が傷付かないように保護する役割もしますが、すでにある傷を治療する役割もします。無意識がたまっている傷を一つ一つ引き出して治療を行っていますが、傷が一気に引き出されると治療が追い付きません。それで治療ができるまで傷を封印して置きます。これが女子のうつ病なのです。
女は、感情をもっているので、自ら傷をつくり、自ら治療をしながら生きていきます。傷が込み上げたときは痛み苦しみつらいと感じます。これは女子青少年も同じです。女子青少年たちの傷表現は、自分の傷を治療してほしいという彼女の意思表示です。しかし、子どもの傷表現に誰も関心をもたずに、慰めることもしないので、治療されない傷がたまっていきます。
青少年たちに対する親の願いは言うことを良く聞き、真面目に勉強して世間的に立派に育ってくれることです。それで娘が苦しんでいたり憂うつでも子どもの内面を見ようとはせずに世間体が重要です。すると子どもは自分の考えも、自分の意志も、自分の夢も世間体につぶされて何も言えなくなります。このようにして傷が大きくなっていくと、ある日突然無意識が傷を封印してしまいます。これが女子青少年のうつ病の原因です。